■Minichamps Mercedes Benz 300SEL 6.3

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1965年、メルセデスベンツは新しい中・上級車として250S/SEをリリースした。
新しい250(W108/109)は、テールフィンの旧220系(W111)に代わるメルセデスの主力車種 としてデビューした。
外観は全体的にW111のデザインを継承しているが、急速に時代遅れになったテールフィンが廃止され、ウェストラインが低められて現代的なデザインになった。薄いルーフも相まって、W108/109は戦後のメルセデスベンツのサルーンの中でも特にウェストラインが低いように感じられる。W111は2ドアの優雅なクーペとコンバーチブルが有名だが、W108/109ではクーペは生産されず、71年までW111系のクーペとコンバーチブルの生産が継続される。
68年には250の2.5リッター直列6気筒エンジンを2.8リッターに拡大し、280S/SE/SELとなる。これにより旧250のボディに古い3リッター・エンジンを 搭載した300SEが消滅し、300SELは280と同じ2.8リッター・エンジンとなった。ただし、300SELは、エアサスペンション、オートマチック・トランスミッション、パワーステアリングが標準装備される点で280SELと異なっていた。シャーシナンバーも、エアサスペンション装備の300SELのみがW109である。

68年3月、300SELのボディに600(W100)のV8 6.3リッターのエンジンを押し込んだ300SEL6.3が加わった。イギリスのモーター・ジャーナリスト、ロジャー・ベルによると、デビューの経緯は、こうであるという。

この人々を驚かせた豪華な投石機は、開発エンジニアでありレーシングドライバーでもあったエーリッヒ・ヴァクセンブルグの着想によるものであった。いきさつはこうである。ヴァクセンバーグは、自分のアイディアで巨大なV8を現行の300のボディシェルに押し込め、チーフ・エンジニアのウーレンハイトを招き、その車に何をしたかは黙ったままで試させた。ウーレンハイトはいつも通りの腕をステアリングに押しつけるスタイルでドライブして、この車の超弩級の性能に仰天し、かつ当惑した。ウーレンハイトは、1周走るとすぐにボンネットを開けて、中に何が入っているのかを見た。この車が生産されるようになったのは、ヴァクセンブルグの先見の明と提案、実験好きな部下に対するウーレンハイトの大度のおかげである。
Bell, Roger, Great Marques: Mercedes Benz, London: Tiger Books, 1989, p. 80.

600よりも700kgも軽量なボディに、アルミブロックをもつ250ps/51.0mkgという強力なエンジンを積む6.3は、最高速220km/h、0-100km/h加速6.5秒というモンスターぶりを発揮した。
70 年にはV8エンジン搭載車が増えて280SE 3.5/280SEL 3.5が加わり、71年には4.5リッターにスケールアップしたV8エンジンを搭載する280SE 4.5/280SEL 4.5が加わる。72年のフルモデルチェンジ直前には、3.5リッター、4.5リッター、6.3リッターという3種類のV8エンジンが用意されていた。

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V8エンジンといえばアメリカの独壇場のような印象があるが、戦後ドイツは50年代以来V8モデルを送り出している。
戦後のV8エンジン搭載車の代表は、1954年のBMW502 V8である。フレームの上にやや古めかしいデザインのボディを載せ、アルミ合金製シリンダー・ヘッド搭載の2558cc V型8気筒エンジンは、100psを発揮した。50年代後半には、オプション装備としてディスク・ブレーキやパワー・ステアリングも採用され、502シリーズは65年まで生き延びた。

いっぽう、GM系のオペルは60年代にカピテーンアドミラルディプロマートといったトップレンジにV8を送り込んだ。アメ車譲りの充実した装備とパワフルなエンジンが特徴であったが、デザインもインテリアもアメリカ的であった。それもそのはずで、アメリカのインターミディエートをそのまま現地生産したモデルだったからである。V8エンジンも、シボレーのスモールブロックをそのまま搭載していた。
なお、ドイツにもローライダーはけっこう多い由で、ローライダーにはメルセデスやBMWよりもアメリカ資本系のオペルや独フォードのほうが人気があるというから面白い。